実験連載小説

2005年4月18日 読書
※本作に登場する一部の人物は著作者の許可を一応取ってあります
また、その他版権モノに関しては思いっきり無断で使用しております。

Disaster’s-可能性から零れ落ちた者達-

-->World-001
暗い、暗い部屋。
そこに一人の少年が何かの培養液を思わせるモノに満たされた円筒形のカプセルの中で漂っていた。
彼には明日という概念も、今という概念も、昨日という概念も無く。
心も意思も記憶も無く、ただ、そこにあるだけだった。
彼はそのように改竄されていた。
幼い日に誘拐われて十数年、肉体を弄られ、頭を弄られ、廃人となり、終わりを虚ろに待つだけの存在と成り果てた。
故に、この先、彼に未来も望みも無く。
ただ、『神』を降ろす為の生贄であった。

そして、『神』は彼に降り、世界は滅ぶ・・・・。

・・
-->World-002
暗い、暗い部屋。
そこに一人の少年が吸血鬼の棺を思わせるような黒い箱の中で安置されていた。
彼には明日という概念も、今という概念も、昨日という概念も無く。
心も意思も記憶も無く、ただ、そこにあるだけだった。
彼はそのように改竄されていた。
幼い日に誘拐われて、肉体を弄られ、頭を弄られ、廃人となり、終わりを虚ろに待つだけの存在と成り果てた。
故に、この先、彼に未来も望みも無く。
ただ、『神』を降ろす為の生贄であった。

そして、この世界でもまた『神』は彼に降り、世界は滅ぶ・・・・。

・・

-->World-XXX(通称:図書館)

世界と世界の狭間、どこにでも通じていて、ただの人はどこからも来れない場所。
その世界は数多の本で満ちていた。
本、正確にはそれも『世界』。
否、『世界』の過去と今を書き綴り続ける物。
故に、それに触れるということはその世界を知り、世界に入るということだ。

「・・・・・・・彼の存在する世界では、どれも『滅びの鍵』はあの少年なのね」
今まで、数十の本を読んでいた中世の魔女のような格好をした女性はふぅ、とため息をついた。
「これでは、あまりに救いがなさすぎます」
人として生まれ、その人生を謳歌することも無くただ虚ろに終わる。
そんなのはあまりに哀れだった。
それだけならば、ほかにも似たようなケースはあった。
だが、彼は存在するすべての世界で等しくその宿命を受けていた。
その不遇さがあまりに哀れを誘う。
「世界の抑止力も、霊長の抑止力でも駄目」
彼女の呟いた二つの単語は正しく最強の存在たちだ。
その存在たちさえも退ける少年、否、彼に降りた『神』。
それは、この数多に存在する本の世界の存在ではない。
「私たち側の存在、ですか」

彼女はこの広大な本の世界。
世界を本として管理し、見守る存在、通称『司書』とここを訪れた者たちには言われている。
そして、『司書』として、
見守る存在としてこの徹底的なまでに世界に『終わりの存在』としての宿命を受けた彼を哀れみ救いの手を伸べようとしていた。
「やめておきなさい」
男の声が本棚に木霊した。
カツンカツンと言う足音とともに目に付くのは黒、黒の長髪、
そして黒いスーツを着、頭には何故か魔法使いの被っていそうな黒のとんがり帽子を被った美麗な男がいた。
「ルナ・ハリア」
司書──女性が彼の名を呼ぶ。
「久しぶりですね。とは言っても、今の私たちに時間という概念は意味の無いものですが」
彼はどこか皮肉するようにそういう。
「えぇ、それと、『やめておけ』とはどういうことですか?」
女性の問いに、ルナ・ハリアは答えた。
「例え、彼を助けようとしたところで、所詮彼はその宿命からは逃れられないでしょう。
 ならば、それは無駄なことだ」
それが解らない貴女ではないでしょう、と彼は言った。
だが、女性は反論する。
「ですが、どんな宿命にも立ち向かい、抗うことができる可能性が人間にはあります。
 それに、今の私たちならば救うことができる」
「ほぅ?」
ルナ・ハリアは皮肉気な笑みを浮かべ、女性を見る。
「貴女がそこまで言うのだ、ならばせいぜい私は君が救おうとしている彼の姿でも見ていよう」
それはつまるところ容認するということだ。
「なんだかんだで、貴方も人が良いですね、ルナ・ハリア」
女性は優しい笑みを浮かべながら彼を見る。
ルナ・ハリアはフッ、と溜息を付くように笑う。
「貴女に言われては私もいよいよですね」

-->World-OuterFortune
暗い、暗い夜の闇。
一人の少年が夜空を見上げた。
「?」
彼は上空から何かの視線を感じたが、ただ星空と月と雲がその視界に映った。
「気のせい・・・なのか? 何かに見られてた気がしたんだけどな」
それは確かに気のせいであり、気のせいではないといえた。
何故なら、彼を見ていた存在はこの世界ではなく、この世界の『外側』にいるのだから。

かくして、幾千万の数多の『世界』で『滅び』としての宿命を背負った少年の運命は変わった。
それが故に、彼には多くの試練が待ち受けているということを彼自身は自覚することが無かった。
「夏優君、お夕飯の準備ができたわよ〜!」
彼を呼ぶ声がした、彼は「は〜い」と嬉しそうに、だが間延びした返事をして自分が住む小屋の中に入った。

To be Continue
──────────────────────────────
登場人物紹介
ルナ・ハリア
年齢:不詳
性別:たぶん男
容姿:痩身中背:黒髪(長髪):黒のスーツ:目元に紫のアイシャドウ(あったはず)
性格:クールでニヒル、他人に決められたレールを歩むような人生は嫌い(と言うようなことを少年Bがいってた気がする
備考:ある意味なんでもありのトンデモキャラ。
クールな性格だが、素直で一途な人間を好む。
気に入ったものが傷つけられると激しく怒り狂う(ハピコンにて隠し小説参照のこと

女性
年齢:不詳
容姿:魔女っ子?
備考:こちらも少年Bの所から引っ張ってきたキャラクター。
一途で何時でも一生懸命な頑張り屋。
常に他者を想い行動する慈愛に満ちた女性
しかし、その想いはいつも報われるわけではない
α

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